2007年 08月 12日
浜松世界青少年合唱祭'07 |
先週末、浜松世界青少年合唱祭-Hamamatsu World Youth Choral Festival '07に行ってきました。私のお目当てはノルウェーから参加した二つの合唱団、バールム少女合唱団(Bærum Pikekor)と、ノルウェー少女合唱団(The Norwegian Girls Choir)で、いずれも初来日です。
この合唱祭は1991年から数年おきに開催されており、今回が4回目です。今年は政令指定都市移行を記念して世界6ヶ国からゲストをお招きし、日本を含め7ヶ国、総勢550名もの少年少女たちが参加しました。海外からの参加者は開催期間中、浜松市内のボランティア家庭に二人一組でホームステイしており、短く忙しい滞在日程ながらショッピングなども楽しんでいったようです。ノルウェーと比べたら日本は物価が安くてびっくりでしょうね。
合唱祭はメインコンサート(5日)の他、交流コンサート(3日)、合唱セミナー、街かどコンサート(4日)など3日間の日程で行われました。
まず私が見に行ったのは街かどコンサート。駅前ビルのアトリウムで催される、通りすがりにふらっと(ビル名はフォルテですが・笑)立ち寄れる無料コンサートです。
市内の小中学校が4校歌い終えたところで、バールム少女合唱団が登場!お揃いの赤いブーナッド(Bunad=民族衣装)が愛らしい12~18歳までの少女による合唱団です。そうそう、少女とは言っても日本の子達よりずっと体格が大きいのをすっかり忘れていました(笑)。私がノルウェーで買ったSIFのポロシャツもレディースのSなのに着てみたら日本のメンズのM相当だったもんなぁ・・・。
歌う前にノルウェー語の挨拶をレクチャーしてくれる場面もあり、場内は和やかな雰囲気。
「"Good afternoon"は何て言うの?」との英語での質問に返って来た答えは、
「"God dag" or "God ettermiddag"」
その発音を司会者が復唱できず場内は笑いの渦でした(笑)。実際ノルウェーでは朝昼晩通して"Hei!(ハイ)"で済ませる方が多いのにねぇ。
彼女たちが一曲目の"Hei, la oss danse"(さぁ、一緒に踊りましょう)を歌い始めると、たちまちその響きあう声の美しさ、音の奥行きの深さに惹きこまれました。演目は"Din Ungdom"(あなたの青春)、"Juoigam"といったノルウェーの曲から、"My funny Valentine"、スティングの"Fragile"と、レパートリーは多様。
最後はピアノ伴奏つきで"Se ilden lyse"(ファイヤー・イン・ユア・ハート)。リレハンメル・オリンピックの公式ソングですよね。 柔らかく力強い歌声をナマで聴くことができ、感激ひとしおでした。歌詞中の"den drømmen"(その夢)がつい"Drammen"に聴こえてしまい一々ドキドキしてたのは内緒です(笑)。
市内の高校4校とチェコの合唱団・イェジャビンカが歌い終え、トリはノルウェー少女合唱団。色とりどりの壮麗なブーナッドを纏った少女たちが舞台の袖から歌いながら登場したのには驚きました。なるほど、この1曲目は"Bruremarsj frå Valsøyfjord"(ヴァルソイフィヨルドの結婚行進曲)だったんです。今も伝統的な結婚式ではこういった光景が見られるんでしょうか。
司会者から「これは特別な時に着るノルウェーの民族衣装で、それぞれのデザインで出身地が判るんだそうです。」と説明があると、場内は ほぉ~っと唯うっとり。カメラに収めている人も沢山いました。 2曲目の"Våren"(春)はノルウェーを代表する作曲家・グリーグの曲です。音楽は全く門外漢の私、恥ずかしながらこの"Våren"を聴いたのも初めて。題は「春」なのに曲にはとても薄暗い物憂い雰囲気が漂っているのが意外でした。ノルウェー語の詩の響きも美しかったので、今度是非CDを探してみようと思います。
ノルウェー少女合唱団は他に"Torø Liti"(私は夜更けに身を横たえた)、"Laudate Dominum"(主をほめたたえよ)、"Jaakobin Pojat"(ヤコブの子ども達)の3曲を披露。
動物の鳴き声のような、風の唸る音のような、不思議な擬声語が用いられており、歌声を聴いているというより自然界の音の中に身を置いているような感覚に陥りました。芸術性の高さはまさに圧巻でした。
でもそんなアーティスティックな彼女たちも日本の暑さの中で着るブーナッドにはちょっと参ったらしく、出番前には舞台の袖で長いスカートをパタパタさせて扇いでいたりして、微笑ましかったです。
思いがけずとても間近で見られたので、手振りのノルウェー国旗を持ってきてアピールすればよかったかなぁ、とちょっと後悔。他の用事と重なってしまい、取る物もとりあえず家を後にしたので・・・。
さて翌日はアクトシティ浜松大ホールでのメインコンサート。朝10時開演で終了予定は6時という長丁場です。私はこの日も急用のため、開演時間にホールに行きバールム少女合唱団を見た後、一旦帰宅し(片道30分)午後また出直すというドタバタした一日でしたが、「半券を見せれば再入場可」なのは助かりました。
バールム少女合唱団は昨日と同じお揃いのブーナッドで登場。ノルウェーの民族音楽、"Pols fra Dunderlandsdalen"(ドゥンデルランズダーレンのポルス)でスタートです。2曲目は昨日ノルウェー少女合唱団が歌った"Våren"、3曲目は"Springar fra Bergen"(ベルゲンのスプリンガル)。ポルスもスプリンガルも踊りの一種だそうです。時折入る手拍子(合いの手?)には独特のリズムと素朴な情緒があり、なんとも魅力的です。4~6曲目は昨日の演目と同じく、"Juoigam"、"My funny Valentine"、そして"Se ilden lyse"。透明感溢れる歌声は、外の蒸し暑さをすっかり忘れさせてくれました。
この後、私は一旦会場を後にし(ああ、忙しい・苦笑)、再び戻って来たのは午後1時半頃でした。合唱祭には1時間程度のお昼休みが設けられていたようです。「お祭」ならではの堅苦しくない雰囲気でした。
今回の合唱祭では日本は勿論、チェコ、ハンガリー、ロシアから参加の合唱団を見ることができました。(中国とポーランドは残念ながら見逃してしまったのですが。)演目はクラシック、民族音楽、ポピュラーソングと様々。ジュニアクワイヤ浜松と名古屋少年少女合唱団はそれぞれ浴衣と祭り装束で独自のパフォーマンスを披露、楽しませてくれました。
そしてメインコンサートのトリはノルウェー少女合唱団。演目は"Ro-Uro"(静寂-喧騒)。なんと今回のステージが世界初演だそうです。
照明が落ち、客席が静まると、舞台の左端からダーーーッと一人の少女が駆け抜けていくではありませんか!"Rrrrrr!"と叫びながら、あっという間に舞台右端へ消えていった白い簡素な服の少女・・・。私たちは一瞬、キツネにつままれたようにポカーン(笑)。するとその直後、再び舞台の袖から、客席の後ろから横から、何人もの少女が"Rrrrrr!!"と続々現れたのです。えー?一体何?!驚きとざわめきと笑いの中、少女たちはステージに駆け上がり、こうして"Ro-Uro"は始まりました。
昨日の壮麗なブーナッドとは打って変わった、簡素な白い上下のいでたち。そして演劇のような構成には誰もが度肝を抜かれました。合唱って、ただ並んで歌うだけだと思ってたのに、こんなに多彩な表現方法があるなんて!
フィナーレは合同合唱。総勢550人もの参加者が一同にステージに並び、"みかんの花咲く丘"、"会津磐梯山"、"Hymn to Freedom"(自由への賛歌)を熱唱します。海外からの参加者も日本語の歌詞を歌い、日本の参加者も外国語の歌詞を歌う。そこには何の違和感もなく、ただひたすら感動あるのみでした。
拍手は鳴り止むことなく、アンコールの"Believe"では観客席からも歌声が。私も一緒に歌いました!最後はもう、涙、涙・・・。歌って泣いたのはマリエンリスト・スタディオンの"Gamle Gress"以来かも(笑)。
ともかく、本当に素晴らしい合唱祭でした。思えば、ノルウェーから合唱団が来日すると知ったからこそ、私はこの合唱祭を見に来たんですよね。キーワード「ノルウェー」がまた一つ、私に扉を開けてくれました!
Takk for fantastiske sanger! Jeg er utrolig imponert over dere
og velkommen igjen til Japan!
この合唱祭は1991年から数年おきに開催されており、今回が4回目です。今年は政令指定都市移行を記念して世界6ヶ国からゲストをお招きし、日本を含め7ヶ国、総勢550名もの少年少女たちが参加しました。海外からの参加者は開催期間中、浜松市内のボランティア家庭に二人一組でホームステイしており、短く忙しい滞在日程ながらショッピングなども楽しんでいったようです。ノルウェーと比べたら日本は物価が安くてびっくりでしょうね。
合唱祭はメインコンサート(5日)の他、交流コンサート(3日)、合唱セミナー、街かどコンサート(4日)など3日間の日程で行われました。
まず私が見に行ったのは街かどコンサート。駅前ビルのアトリウムで催される、通りすがりにふらっと(ビル名はフォルテですが・笑)立ち寄れる無料コンサートです。
市内の小中学校が4校歌い終えたところで、バールム少女合唱団が登場!お揃いの赤いブーナッド(Bunad=民族衣装)が愛らしい12~18歳までの少女による合唱団です。そうそう、少女とは言っても日本の子達よりずっと体格が大きいのをすっかり忘れていました(笑)。私がノルウェーで買ったSIFのポロシャツもレディースのSなのに着てみたら日本のメンズのM相当だったもんなぁ・・・。
歌う前にノルウェー語の挨拶をレクチャーしてくれる場面もあり、場内は和やかな雰囲気。
「"Good afternoon"は何て言うの?」との英語での質問に返って来た答えは、
「"God dag" or "God ettermiddag"」
その発音を司会者が復唱できず場内は笑いの渦でした(笑)。実際ノルウェーでは朝昼晩通して"Hei!(ハイ)"で済ませる方が多いのにねぇ。
彼女たちが一曲目の"Hei, la oss danse"(さぁ、一緒に踊りましょう)を歌い始めると、たちまちその響きあう声の美しさ、音の奥行きの深さに惹きこまれました。演目は"Din Ungdom"(あなたの青春)、"Juoigam"といったノルウェーの曲から、"My funny Valentine"、スティングの"Fragile"と、レパートリーは多様。
最後はピアノ伴奏つきで"Se ilden lyse"(ファイヤー・イン・ユア・ハート)。リレハンメル・オリンピックの公式ソングですよね。
市内の高校4校とチェコの合唱団・イェジャビンカが歌い終え、トリはノルウェー少女合唱団。色とりどりの壮麗なブーナッドを纏った少女たちが舞台の袖から歌いながら登場したのには驚きました。なるほど、この1曲目は"Bruremarsj frå Valsøyfjord"(ヴァルソイフィヨルドの結婚行進曲)だったんです。今も伝統的な結婚式ではこういった光景が見られるんでしょうか。
司会者から「これは特別な時に着るノルウェーの民族衣装で、それぞれのデザインで出身地が判るんだそうです。」と説明があると、場内は ほぉ~っと唯うっとり。カメラに収めている人も沢山いました。
ノルウェー少女合唱団は他に"Torø Liti"(私は夜更けに身を横たえた)、"Laudate Dominum"(主をほめたたえよ)、"Jaakobin Pojat"(ヤコブの子ども達)の3曲を披露。
動物の鳴き声のような、風の唸る音のような、不思議な擬声語が用いられており、歌声を聴いているというより自然界の音の中に身を置いているような感覚に陥りました。芸術性の高さはまさに圧巻でした。
でもそんなアーティスティックな彼女たちも日本の暑さの中で着るブーナッドにはちょっと参ったらしく、出番前には舞台の袖で長いスカートをパタパタさせて扇いでいたりして、微笑ましかったです。
思いがけずとても間近で見られたので、手振りのノルウェー国旗を持ってきてアピールすればよかったかなぁ、とちょっと後悔。他の用事と重なってしまい、取る物もとりあえず家を後にしたので・・・。
さて翌日はアクトシティ浜松大ホールでのメインコンサート。朝10時開演で終了予定は6時という長丁場です。私はこの日も急用のため、開演時間にホールに行きバールム少女合唱団を見た後、一旦帰宅し(片道30分)午後また出直すというドタバタした一日でしたが、「半券を見せれば再入場可」なのは助かりました。
バールム少女合唱団は昨日と同じお揃いのブーナッドで登場。ノルウェーの民族音楽、"Pols fra Dunderlandsdalen"(ドゥンデルランズダーレンのポルス)でスタートです。2曲目は昨日ノルウェー少女合唱団が歌った"Våren"、3曲目は"Springar fra Bergen"(ベルゲンのスプリンガル)。ポルスもスプリンガルも踊りの一種だそうです。時折入る手拍子(合いの手?)には独特のリズムと素朴な情緒があり、なんとも魅力的です。4~6曲目は昨日の演目と同じく、"Juoigam"、"My funny Valentine"、そして"Se ilden lyse"。透明感溢れる歌声は、外の蒸し暑さをすっかり忘れさせてくれました。
この後、私は一旦会場を後にし(ああ、忙しい・苦笑)、再び戻って来たのは午後1時半頃でした。合唱祭には1時間程度のお昼休みが設けられていたようです。「お祭」ならではの堅苦しくない雰囲気でした。
今回の合唱祭では日本は勿論、チェコ、ハンガリー、ロシアから参加の合唱団を見ることができました。(中国とポーランドは残念ながら見逃してしまったのですが。)演目はクラシック、民族音楽、ポピュラーソングと様々。ジュニアクワイヤ浜松と名古屋少年少女合唱団はそれぞれ浴衣と祭り装束で独自のパフォーマンスを披露、楽しませてくれました。
そしてメインコンサートのトリはノルウェー少女合唱団。演目は"Ro-Uro"(静寂-喧騒)。なんと今回のステージが世界初演だそうです。
照明が落ち、客席が静まると、舞台の左端からダーーーッと一人の少女が駆け抜けていくではありませんか!"Rrrrrr!"と叫びながら、あっという間に舞台右端へ消えていった白い簡素な服の少女・・・。私たちは一瞬、キツネにつままれたようにポカーン(笑)。するとその直後、再び舞台の袖から、客席の後ろから横から、何人もの少女が"Rrrrrr!!"と続々現れたのです。えー?一体何?!驚きとざわめきと笑いの中、少女たちはステージに駆け上がり、こうして"Ro-Uro"は始まりました。
昨日の壮麗なブーナッドとは打って変わった、簡素な白い上下のいでたち。そして演劇のような構成には誰もが度肝を抜かれました。合唱って、ただ並んで歌うだけだと思ってたのに、こんなに多彩な表現方法があるなんて!
フィナーレは合同合唱。総勢550人もの参加者が一同にステージに並び、"みかんの花咲く丘"、"会津磐梯山"、"Hymn to Freedom"(自由への賛歌)を熱唱します。海外からの参加者も日本語の歌詞を歌い、日本の参加者も外国語の歌詞を歌う。そこには何の違和感もなく、ただひたすら感動あるのみでした。
拍手は鳴り止むことなく、アンコールの"Believe"では観客席からも歌声が。私も一緒に歌いました!最後はもう、涙、涙・・・。歌って泣いたのはマリエンリスト・スタディオンの"Gamle Gress"以来かも(笑)。
ともかく、本当に素晴らしい合唱祭でした。思えば、ノルウェーから合唱団が来日すると知ったからこそ、私はこの合唱祭を見に来たんですよね。キーワード「ノルウェー」がまた一つ、私に扉を開けてくれました!
Takk for fantastiske sanger! Jeg er utrolig imponert over dere
og velkommen igjen til Japan!
by Tore_Tretyakov
| 2007-08-12 23:42
| 文化(ノルウェー・デンマーク)